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質問主意書
■ 印紙税に関する質問主意書 (平成17年3月7日)
 

印紙税は、課税・非課税の別が明確でないだけでなく、納める際の様々な不公平感があることから、納税現場に混乱をもたらしている。国は、「公平」「中立」「簡素」という税制の基本原則にのっとって、納税者が混乱せず納得して納税できる制度にするよう努力する責任がある。

 そこで、以下質問する。

一 印紙税の課税額は、文書の種類と契約額によって異なっているが、文書の種類ごとに課税基準が変わるため、非常に分かりづらいものとなっている。さらに、そもそもなぜそのような基準になったのか、疑問を禁じえない。

1 同じ契約金額であっても、文書の種類により印紙税額が異なる。例えば、契約金額五十万円の場合、不動産売買契約書など第一号文書であれば印紙税額は四百円であるが、工事請負契約書など第二号文書であれば印紙税額は二百円となっている。このように印紙税額を変えているのはなぜか。また、印紙税額を現行のように決定した際の基準はあるのか。
2 第十七号文書のうち、「売上代金の領収書」においては、三万円未満を非課税としているが、なぜ「三万円」という金額で区切っているのか。どのような経緯及び理由でこの金額が決定したのか。また、今もなお妥当であると考えているのか。

二 同じ金額の文書を作成した場合に、大企業と中小企業とが印紙税を同様に負担している現状は、中小企業に不利なのではないか。また、中小企業に対し印紙税負担を軽減する措置を導入することも必要と考えるが、いかがか。

三 税理士、弁護士、医師等の行為に関して作成される受取書は、営業に関しないものとして印紙税が課せられていない。取引に伴い作成される文書であるにもかかわらず課税されていないことは公平とは言い難いが、政府の見解を示されたい。

四 名刺の裏や請求書に「仮領収書」と書いて交付し、後に本領収書を交付するケースがある。その場合、その都度印紙の貼付が必要となるが、仮領収書に本領収書と差し替える旨を明記していても、印紙を貼り付けなければならないのか。負担軽減の観点から、このような場合に領収行為が一体であることを重視して印紙税の課税をどちらか一方に限るようにすべきではないか。

五 電子商取引でもインターネット上で契約書などが交わされることがあるが、添付ファイルなどの形で交わされる電子文書については印紙税の課税対象外となっている。同じ契約書などであるにもかかわらず、文書か電子文書かで印紙税の課税・非課税を判断することは不公平極まりなく、税の基本原則に反していると言わざるを得ない。電子商取引によって発生する電子文書による契約書などの捕捉が技術的に困難なのであれば、税の基本原則に合うように、印紙税そのものを見直す必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 国や郵便局、印紙売りさばき所等で印紙を販売する際、その売上は非課税売上として扱われている。また、三万円以上の印紙を販売しても受領書に印紙は必要ない。一方、民間事業者の契約時等においては、相手先には印紙の持ち合わせがなく、自分が所持している印紙を売り渡すような場面がよくあるが、民間事業者が所持している印紙を他者へ売り渡した際は、課税売上として扱われるだけでなく、三万円以上の印紙を販売すると受領書に印紙税が課税される。これでは、民間事業者に不当な損失を発生させるだけでなく、経済取引の利便性を損ねていると考えられる。よって、たとえ民間事業者であっても、印紙を販売した際には非課税となるよう措置すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 石油やガス、酒などのように、流通段階で課税されるものについて印紙税を課税することは、消費税のことも考えれば、三重課税となっているのではないか。このようなことが許されるのか。

八 印紙税の課税判断や還付手続の際必要な文書等について税務署に問い合わせた際、全く同じ事例でも、税務署あるいは担当者によって判断が異なるという看過できない問題がある。このような現状を、政府は認識しているか。また、このような問題が生じる原因は何であると考えているか。さらに、政府は現場で一貫性のある判断がなされるよう対策を講じるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

九 印紙をもって租税及び国の歳入金を納付するときは、収入印紙を用いる原則である。その一方で、特許印紙、登記印紙、雇用保険印紙、健康保険印紙など、国の歳入金であるにもかかわらず異なる印紙を用いるものも多い。現在は貼付された印紙の区別により納付金の収納先会計が区別されているが、それを明らかにする手段を別途講じた上で、納税者の利便性を重視して一種類にまとめるべきではないか。

十 明治維新の頃における我が国の租税は地租に偏重していたために、商工業を軽く、農業に重く課せられることになり、商、工、農間における租税負担の権衡が失われていた。そこで、この是正を図るために、地租の改正に着手するとともに、商工業に重課されることとなる租税として導入されたのが、我が国における印紙税の起源であると承知している。しかし、現在の租税負担は農業より商工業に重くのしかかっており、導入当初の印紙税の役割は既に果たし終えたと考えられるが、政府の見解を示されたい。

十一 以上の質問で述べたように、印紙税をめぐる問題は山積している。このような印紙税は、果たして税制の基本原則に則していると言えるのか。また、印紙税の廃止を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。

印紙税に関する質問に対する答弁書
 

一の1について

 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)では、税率についていわゆる定額税率及び階級定額税率の二種類を採用しており、その具体的税率については、二十に分類されて掲名された課税文書ごとにそれぞれ定めている。これは、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める印紙税の性格を踏まえ、課税文書ごとにその文書の作成の基因となる経済取引の内容やその文書の作成実態等が異なる点を考慮していることによる。また、現行の印紙税の税率については、財政状況や経済情勢の推移等を踏まえ定めてきたところである。

一の2について

 印紙税法別表第一第十七号の文書(以下「金銭等の受取書」という。)については、その記載金額が一定の金額(現行三万円。以下「免税点」という。)に満たないものは非課税とされているが、これは、金銭等の受取書は課税文書の中でも作成数が多いことから納税事務を簡素化することのほか、少額の金銭等の受取書を作成することが多いと考えられる中小企業の負担に配慮して講じられたものであり、現行の免税点は、昭和四十九年に、税率の引上げ及び金銭等の受取書について定額税率を階級定額税率とする改正が行われたことに併せ、中小企業の負担の大幅な上昇を緩和する観点から、従来の一万円を三倍の三万円に引き上げたものである。その結果、昭和四十九年当時、作成される金銭等の受取書の九割程度が非課税になっていたが、近時の調査でも同程度の割合の金銭等の受取書が非課税になっており、依然この免税点の水準は妥当なものであると考えている。

二について

 印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求めるものであることから、同一の課税文書について作成者の資本金の大きさなどによって印紙税の税負担を異にすることは印紙税の性格になじまないと考えており、中小企業であることをもって印紙税を軽減する措置を講ずることは考えていない。  なお、一の2についてで述べたように、金銭等の受取書については、中小企業の取引実務にも配慮して免税点を設けているところである。

三について

 印紙税法では、どの文書を課税文書とするかはその文書の作成の基因となる経済取引の内容やその文書の作成実態等を考慮して定めており、金銭等の受取書については、営業に関するものを課税対象としている。他方、税理士、弁護士、医師等の業務には高度な公共性が期待されており、営利を目的とした商行為とは異なる。そこで、これらの者が本来の業務に基づき作成する金銭等の受取書は営業に関しないものとして取り扱っており、その結果、これらの金銭等の受取書に係る印紙税は非課税とされているものである。なお、今後、これらの者の業務についてその社会的、経済的位置付けが変化するなど事情の変化があれば、必要に応じてその課税の在り方について検討してまいりたい。

四について

 印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税であることから、一の取引について複数の文書を作成した場合にはそれぞれ課税されることとなる。御指摘のような場合、「仮領収書」であっても、金銭等の受取の事実を証明する効力を有し、「仮領収書」と「本領収書」のそれぞれの文書が取引に係る法律関係の安定化に寄与するものであると考えられることから、それぞれの文書について課税することは文書課税である印紙税の趣旨に合致するものであり、御指摘のような軽減措置を講ずることは考えていない。

五について

 事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。  しかし、印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税であるところ、電磁的記録については、一般にその改ざん及びその改ざんの痕跡の消去が文書に比べ容易なことが多いという特性を有しており、現時点においては、電磁的記録が一律に文書と同等程度に法律関係の安定化に寄与し得る状況にあるとは考えていない。  電子商取引の進展等によるペーパーレス化と印紙税の問題については、印紙税の基本にかかわる問題であることから、今後ともペーパーレス化の普及状況やその技術の進展状況等を注視するとともに、課税の適正化及び公平化を図る観点等から何らかの対応が必要かどうか、文書課税たる印紙税の性格を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたい。

六について

 印紙の譲渡に係る消費税については、印紙がその収集を目的として譲渡される場合等においては課税することが適当であるが、譲渡の目的を客観的に把握することは困難である。そこで、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和二十三年法律第百四十二号)において、印紙は、郵便局、印紙売りさばき所等の一定の場所において売り渡すとされていることを踏まえ、当該一定の場所において印紙が譲渡される場合に限って非課税としているところである。  また、国、地方公共団体及び印紙税法別表第二に掲げる法人が作成する文書に係る印紙税については、その作成者の性格にかんがみ非課税としているが、一般の民間事業者が印紙を譲渡して免税点以上の金額の金銭を受け取り金銭等の受取書を作成する場合については、営業に関して免税点以上の金額の金銭を受け取ったことについて金銭等の受取書を作成している以上、印紙税を課税することが適当である。  したがって、御指摘の印紙を販売した際の取扱いについては、現在の非課税範囲を拡大する改正を行うことは考えていない。

七について

p> 消費一般に負担を求める消費税及び特殊なし好品としての性格や受益と負担との関係等に着目して負担を求める酒や石油等に対する個別間接税と、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税でありいわゆる流通税である印紙税とは、それぞれ課税の趣旨を異にするものであり、それぞれの税を課税することについて問題はないと考えている。

八について

 御指摘のようなことがないよう、国税庁においては、全国を通して税務行政を統一的に執行していくため、税法の適用に関する通達を発するとともに職員に対して各種税法研修等を継続的に実施し、職員の専門能力等の向上に努めているところであり、印紙税についても、印紙税法の適用に関する通達を発し、必要な専門知識の習得のため各種研修等を実施し、その取扱いの統一に努めているところである。  なお、同通達を公表するほか、課税の対象となる文書の判定や各種手続の内容等について、「印紙税の手引」や質疑応答事例等を国税庁ホームページに掲載するとともに、税務署等が主催する各種説明会の機会をとらえて印紙税の取扱いについて説明するなど、広報、相談及び指導にも努めているところである。

九について

 国の歳入金で、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第十三条の規定により設置された各特別会計に係るものを印紙で納付する場合においては、当該印紙により納付される歳入金が、どの特別会計の歳入であるかを明らかにする必要があることから、特許印紙、登記印紙、雇用保険印紙、健康保険印紙等を用いているものである。  国の収入としては、その印紙を売りさばいた際に現金の領収が実現していることから、その領収した金額をもって一般会計又は各特別会計の歳入に計上しているところであり、印紙を一種類として国の歳入金を収納することは、当該歳入金が一般会計又は各特別会計のいずれに帰属するのか不明となることから適当でないと考えている。

十について

 我が国における印紙税は、明治六年に制定された受取諸証文印紙貼用心得方規則(明治六年太政官布告第五十六号)に起源があり、当時、地租改正に関連する税制の整備の一環として、数多くの税とともに、御指摘のような考え方も踏まえつつ我が国の財政に寄与するために導入されたものであると承知している。  この受取諸証文印紙貼用心得方規則は翌明治七年に廃止されて証券印税規則(明治七年太政官布告第八十一号)が制定され、明治三十二年にこれが廃止されて、印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)が制定され、昭和四十二年にこの印紙税法を全面的に見直し全部改正を行って現行の印紙税法に至っているが、このような印紙税に関する法の改廃等は、社会経済情勢の変化や財政状況等を踏まえ、その時々の税体系及び税収面で印紙税の果たすべき役割について国会での審議等を経て行われてきているところである。こうした変遷を経て、現行の印紙税法については、御指摘のような商工業と農業の間における税負担の均衡を図るという制度創設時の目的は薄れてきたが、他方で、複雑化する法律関係の中で文書作成により法律関係の安定化を図ることは依然として広く行われており、そうした文書に軽度の負担を求めることについて、なお妥当性は存在すると考えている。また、印紙税は、長い歴史の中で我が国の経済取引の中で定着してきており、我が国の税体系及び税収面で基幹税目を補完する重要な役割を果たしている。

十一について

 印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税であり、いわゆる流通税の一つとして、現在においても、我が国の税体系及び税収面において基幹税目を補完する重要な役割を果たしていると考えている。お尋ねの税制の基本原則との関係について特段の問題があるとは考えておらず、また、税収は、平成十七年度予算で約五千億円となっており、現下の極めて厳しい財政状況において貴重な財源となっていることから、印紙税を廃止することは考えていない。  なお、印紙税も含め、税制は社会経済情勢の変化や財政状況等を踏まえ不断の見直しを行っていくべきものであると考えている。

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