桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ:「新自由主義の敗北」

2016年11月10日 (木) 17:46
◇新自由主義の敗北
 
 大方の予想を裏切って、トランプ氏が勝利をおさめた。この戦いに勝利された事に、祝意を表したいと思います。世論調査では、クリントン候補が優位に戦いを進めていたように思えたが、意外な結果になった。
 
 しかし、予備選挙でも民主党のサンダース上院議員があれだけの支持を集めた事を考えれば、トランプ氏の勝利は予想できたことなのかもしれない。トランプ氏とサンダース上院議員では全く違うように思われるかもしれないが、新自由主義を否定している点は同じである。
 
 この選挙を通じて、現在のアメリカ社会に対して、アメリカ国民が如何に不満を抱えているのかが良く分かった。貧困から脱することのできない人たちの怒りは、頂点に達しているように思われる。
 
 日本も、小泉-竹中改革に熱狂していた時代もあったが、貧困層が増えるだけで、方向転換しなければならないことに、日本国民もやっと気が付き始めた。しかし悲しいかな、その怒りの層に対する受け皿が、今の日本にはない。
 
 トランプ氏を大衆迎合と批判していた新聞記事があったが、お門違いも甚だしい。彼は、大衆に迎合したのではない。大衆の受け皿になったのだ。ただし問題はこれからである。新自由主義後の社会像をトランプ氏は示していないからだ。
 
 新自由主義の最大の問題は、富の配分にある。豊かな人はより豊かに、貧しい人たちは、豊かな人たちのために働き続けなければならない。この社会の転換には富の再配分を考える必要があり、その為には、株主を優遇する社会から、働く人たちを大切にする社会に変えていかなければならない。この社会変換の大きなうねりを作っていきたいと考えている。
 
 
参議院議員・医師 桜井充
 


【秘書のつぶやき】
 桜井充秘書小林です。 
 アメリカ大統領選挙において、トランプ候補が勝利を収めました。
 思えば、9月末の当コラムでイギリスの国民投票と同じ展開になるのではないかと書かせて頂きましたが、現実となってしまいました。
 世論調査や統計だけでは国民の生活や思いを完全に理解するのは難しいということを裏付ける結果だったのではないでしょうか。アメリカの雇用統計は極めて好調で、統計だけをみるとオバマ大統領が推すクリントン候補は圧勝してもおかしくなかったはずです。オバマ政権は、リーマンショックの後の不況に対し、金融緩和政策により企業業績や株価を押し上げました。しかし、株式保有率の高い米国でさえも中流層以下には恩恵の実感がなかったということでしょう。オバマ大統領が当選した際に流行した言葉は「CHANGE」でしたが、今回も再び有権者は「CHANGE」を望んだのでした。
 さて、トランプ氏は、選挙期間中に米国は「世界の警察」を辞めると訴えていました。世界のパワーバランスに大きな変化が生じるのは間違いありません。TPP問題はもちろんですが、北朝鮮の動向が気になります。(小林太一)