桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「拙速すぎるのではないか」

2018年11月01日 (木) 22:02
 今国会の最大の問題は、入管法の改正になるのだと思う。もう一つは、EUとのEPAの協定ということになるだろうか。
 
私は法務委員会に所属しているので、入管法の審議を行うことになっている。宮城県は被災地を中心に人手不足が深刻である。若い人たちの流失が止められないし、Uターンも期待できない。
 
そうなると、最後の頼みの綱は外国人労働者ということになる。私は、外国人を受け入れることについて、基本的に賛成である。その理由は、このままでは、地域社会の崩壊を止められないからである。
 
しかし、昨日の本会議を始めとした議論を聞いていると、来年4月からの施行は早すぎる感じがした。何故ならば、受け入れるための体制整備ができていないからである。
 
例えば、社会保障制度である。本人が社会保険に加入すれば、家族も保険を使って、治療受けることが可能になる。もし、自国の医療費が高い、あるいは日本の医療の方が進んでいるのであれば、日本に来て保険診療を受けることが可能になる。このようなことになれば、医療費は大幅に増えることになるだろう。
 
年金も10年間保険料を納めれば、受給資格が生じる。仕事を辞めて本国に帰った人たちに対して、年金を支給することにするのだろうか。
 
子供の教育環境に対しても、まったく整備ができていない。日本語を話せない子供たちが日本に地方に来た場合、学校で対応できるだろうか。
 
我が国の現状を考えれば、外国人労働者を受け入れなければ、産業は成り立たない。少子化に歯止めがかからない今、地方都市を存続させるためには、仕方がないことなのだと思う。しかし、この状況で受け入れれば、混乱することは確実である。体制をきちんと整備してから、入管法の議論を行うべきではないだろうか。
 
 
 
参議院議員・医師 桜井 充
 
【秘書のつぶやき】
桜井充秘書庄子です。
外国人労働者受け入れ拡大に関しては、議論するほどに問題点が浮き彫りになる・・・というよりも、議論できる水準に達していないのではないかと強く感じます。本日の衆議院の予算委員会では、外国人技能実習生の失踪者が今年の1月から6月までの半年で4279名に登ったことが明らかになりました。失踪者数は2011年には1534人(実習生約14万人)、2017年には7089 人(実習生約25万人)と増加を続けており、こうした実習生の現状を放置したまま新たな受け入れ枠を設けるということ自体に問題があります。(庄子真央)