桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「​◇言論の府が死んでしまう」

2018年12月14日 (金) 09:34

短かったが、とても忙しかった国会が閉会した。この短期の国会で、この国のあり方を大きく変える可能性のある法案がいくつも成立した。入管法、漁業法、そして日本とEUのEPAである。
 
これだけ大きな法案であるにも関わらず、参議院での審議時間は入管法でも20時間程であり、漁業法は11時間、日欧EPAに至ってはたったの4時間であった。このような状況で、野党が慎重審議を求めるのは当然のことである。政府、そして与党には、国会の在り方をきちんと考えてほしいと思う。
 
私は法務委員会に所属しており、入管法の審議を行ったが、論点が整理されないうちに強行採決が行われた。立憲民主党や共産党は、この採決を不満として委員長を取り囲み、小競り合いになった。私たちはそこには加わらなかったが、反対討論を行い、付帯決議を取りに行った。
 
反対討論を始めようとしたとき、議場は混乱しており、討論の内容も聞き取れないような状況だった。そこで、反対を表明するためにも討論をさせていただきたいとお願いし、静かな環境で反対討論を行うことができた。理解してくださった与野党の議員に感謝したいと思う。
 
法案審議は不十分であり、これを受けて大島衆議院議長から、入管法に関する政省令ができあがった時点で国会に提出するようにと斡旋があった。この仕切りは流石である。当然のことだが、関連の政省令が出された時点で、閉会中審査や集中審議を行うべきである。
 
こんな短い会期で重要法案が成立するのであれば、言論の府は死んでしまうと思う。このような国会は今回で最後にするべきであり、言論の府を取り戻すために、与野党を超えて取り組んでいかなければならないと感じている。
 
 
参議院議員・医師 桜井 充
 
 
 
 
 
【秘書のつぶやき】
桜井充秘書庄子です。
順天堂大学が入学試験で女子受験者に不利な扱いをしたことについて、「女子のほうがコミュニケーション能力が高いため、男子を救うべく扱いを変えた」と理由を述べました。客観的データとして提示した論文にも妥当性はなく、とうてい通らない言い分です。
話は少し変わりますが、以前、「男性脳と女性脳」という俗説について調べてみたことがあります。男女の脳には性差があり、両者の違いに応じて社会的な扱いが変わることも当然だという言説ですが、東京大学大学院の筒井晴香氏の論文では、「現在の脳科学の観点から能力や認知・行動面に影響するような脳の性差の有無については実験結果や議論が分かれており、また能力や認知・行動面の違いは極端に大きいものではなさそう、というのが現状のようだ」と述べられています。
性差を決定的なものであるかのように扱うことは、今後なくしていかなければならないものであろうと思います。(庄子真央)