桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「信じられない」

2023年11月23日 (木) 18:46
 財政審から、今回の診療報酬改定において、改定率は1%の減少であるとの答申が出された。財務省の言いなりの機関なので、別に驚きはしないが、何を考えているのか全く理解できない。

 コロナで患者さんの治療や検査を行った医療機関は確かに利益をあげている。しかし、新型コロナ患者の受け入れは国から要請されたことであり、もし医療機関が通常の診療を優先して新型コロナ患者の診療や検査を行わなかったら、日本社会はどうなっていたのだろうか。このようなことは考慮せず、利益が出ているから診療報酬を減らすというのはあまりにも暴力的である。

 さらに、診療報酬のマイナス改定は、保険料の負担を軽減するためにも必要な措置だとしているが、これまで我が国では社会保障給付を増やす一方で国民負担を引き上げてこなかった。その結果、多額の借金を抱えることになったではないか。財務省はこの点を問題視してきた立場であるというのに、今回だけは保険料負担が増えないようにというのはおかしな話である。

 もし、保険料負担を軽減したいのであれば、後期高齢者医療制度に対する上納をやめさせれば良い。現在、健保組合も国保も、後期高齢者医療制度に保険料の拠出を行っている。このことにより、保険財政が悪化しているのだから、この点を見直すべきである。

 我が国は物価上昇の局面に入り、コストカット型の社会から脱却するということを政府全体で取り組んでいる。それにもかかわらず、医療に対してはコストカットを進めようとするとは、財政審は何を考えているのか。診療報酬の引き上げは当然のことであり、年末に向けて財務省と戦っていきたいと考えている。