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桜井充メルマガ:「安ければ良いというものではない」

2011年02月10日 (木) 18:03
   政府でリバースオークション(競り下げ入札)を導入するために、社会実験を行う事になった。私は経済に対する影響が大きいので反対したが、内閣府の公共サービス改革推進室の仕事なので、私には止められる権限はない。
 現在の経済状況で最大の問題は、何と言ってもデフレである。ここからどう脱却するのか検討している時に、デフレを加速する様な政策を導入してどうしようとしているのだろうか。過度な価格競争で苦しんでいる企業にさらに追い打ちをかける結果になってしまう。
 財政再建の点でもデフレからの脱却は極めて重要である。財政健全化目標の一つである「債務残高対GDP比」では、国の債務は、GDP(国内総生産)で補正する、つまりGDPが大きくなれば、相対的に借金の割合は減少する。このGDPが伸びなくて苦労しているのだが、その一因がデフレである。
 また、物価を下げるために、企業は利幅を圧縮し、人件費を削減している。その結果、税収の点で見れば、法人税も所得税も減収になってしまう。このように、国家財政の点から見ても、デフレからの脱却は大切なのである。
 リバースオークションは税金の無駄遣いをなくすためには良い方法のように思える。確かに政府の支出は減るのであるからそのように感じられるが、企業が値下げするという事は、企業の利益や人件費の削減につながる側面もある。そうなれば、税収も減ることになるので、歳入と歳出の観点から考えれば、それほどメリットがあるとは思えない。
 内閣府に対して、このような点を尋ねたが、彼らの回答はリバースオークションのメリットを強調する様な資料だけであった。例えば中小企業に対する影響である。
 
○競り下げによる新規参入企業は大企業ではなく中小企業が主である。これまで公的機関の入札に敷居の高さを感じて入札に参加していなかった中小企業や、インターネット上での入札のため地方の中小企業が参加するようになったりしている。
○競り下げに参加したことで、かつては担当者に会うこともできなかった大企業との取引チャンスができた。
○バイヤーにとっても競り下げは新しい供給者を発見できる機会。
○独立行政法人労働者健康福祉機構が平成21年度、22年度に実施した競り下げ9件のうち4件は中小企業が落札。
 
 中小企業団体は反対しているにも関わらず、彼らは、中小企業の影響に対しても、バラ色の社会が待っているような、あまりに現実離れしている回答なのである。さらに言えば、私が問題視しているような点についての回答はなかった。
 現実を知らない官僚が、自分たちの決めた政策を推進するためには、このように現実を無視した根拠を持って、制度の導入を図ろうとして行くのである。これでは社会が良くならないのも当然である。
 ここまでリバースオークションにこだわるであれば、内閣府の官僚のポストもリバースオークションにすれば良い。今の仕事を安く請け負ってくれる人材を募集するような社会実験を行ってみるべきだ。このぐらいの事を行なわなければ、社会の苦しみを理解できないような質の悪い官僚とは、これからも戦っていきたいと考えている。
                 参議院議員・医師 桜井 充
 
【秘書のつぶやき】
 桜井充秘書小林です。桜井が上記のように述べているように公共入札にリバースオークションの導入が検討されています。
  入札といえば、小生も証券会社の債券部のトレーダーとして働いていた頃、某地方公共団体において150億円の債券購入における入札がありました。極めて安い値段を提示したのにも関わらず、最終的に他社に持っていかれたため他社のレートを確認してみたところ、どう見ても赤字で出したとしか思えない値段で納得がいかなかった記憶があります。
 これをもって一事が万事とはとても言いませんが、その他の公共入札も既に相当厳しい競争となっていると現場の方々からお話をよく伺います。公共入札は地域経済の景気対策、つまり雇用対策という側面があることは否定できませんし、日本における企業数のうち、中小企業は全体の99.7%、雇用者数の71%を占めており、中小企業の元気無くして日本の元気はありえないことからも中小企業への影響をしっかり検証しなければなりません。
 リバースオークションについて中小企業で働いておられる皆様はいかがお考えでしょうか。ちなみに公共サービス改革について内閣府へのご意見は次のURLからだそうです。ご参考までご紹介いたします。 https://form.cao.go.jp/koukyo-question/opinion-0008.html (小林太一)