桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ:「​直接支払制度」

2016年05月05日 (木) 16:35
 先日養豚の関係者の皆さんと意見交換させて頂いた。アメリカでは、豚を一頭育てるのに、1万2千円程度かかるそうなのだが、日本はその倍以上の約3万円かかるそうだ。現実的には、輸送コストが8千円なので、日本に輸入されるときには、必要経費は2万円になる。
 
 このことからわかるように、内外価格差は1万円である。今は関税をかけているから守られているが、TPPで合意した内容であれば、日本の養豚農家は壊滅的打撃を受けることになるだろう。
 
 養豚農家の皆さんは強い危機感を持っているのだが、政府の見通しは極めて甘く、非常に楽観的である。自分たちで合意してきたのだから、かなり厳しいとは言えないのかもしれないが、現実を直視していないことがわかる。
 
 養豚農家が破綻すれば、地域の産業が失われ、雇用も失うことになる。当然のことだが、地域が衰退していくことになる。これは生産農家の問題だけでは済まない。何故ならば、食の安全が脅かされる可能性があるからだ。
 
 アメリカの豚を安く生産できるのは、日本では認められていないホルモン剤を使ったり、遺伝子組み換えの飼料が使われているからである。このような豚を食べ続けた時の安全性は確立していないのだから、日本の養豚農家を守っていくことは当然のことだと思う。
 
 そのためには、内外価格差を埋める額を農家に直接支払うべきである。具体的に言えば、日本の豚を流通させる金額を3万円から2万円に引き下げるのである。養豚農家は1万円の損が出るので、その分を税金で補てんするのである。
 
 そうなれば、日本の豚を2万円で買うことができるようになるので、アメリカの豚をわざわざ輸入する必要はなくなる。農家にだけ税金を使うことに異論があるようだが、実は得をしているのは消費者である。
 
 何故ならば、3万円出さなければ買えなかった日本の豚が、2万円で買えるようになるからである。つまり、税金は最終的には農家に手渡されるが、本来は消費者に渡されているのである。
 
 このような直接支払制度は世界では当たり前であり、そうやって自国の農業を守っているのである。ちなみに、イギリスの農家は所得のうち70%が税金である。日本も農業を守り、食の安全を守るために、直接支払制度を導入するべきである。
 
 
参議院議員・医師 桜井充
 
 
【秘書のつぶやき】
 桜井充秘書小林です。
 本日は「こどもの日」です。ふと、「こどもの日」について調べてみると、祝日法2条によれば、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」とありました。「母の日」が近いから「母に感謝する」ということなのでしょうか。これまた調べてみると、昭和23年とかなり昔の議論で、しかも議員立法であったということもあり、政府にあまり記録は残っていないようでした。少ない記録をたどってみると、国会では「こどもの日」制定にむけて草案を作る中で、「こどもを大部分育てるのは母だから、母の日や婦人の日といったものを設けるべきではないか」という議論がなされたようです。結果的にこれは採用されなかったのですが、法律には盛り込まれたということのようです。
 流行語大賞に「イクメン」という言葉が選ばれたことがありましたが、もしかしたら、これからも「母」としたままでよいのか、はたまた他の表現にすべきか等の議論がなされる時代も来るかもしれません。(小林太一)