桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「無責任すぎる」

2021年09月17日 (金) 16:10

 先日、参議院の政策審議会があった。議題は「『ワクチンパスポート』の導入と活用等」に関してである。経団連と日本貿易会から要望を受けた後、各省庁から説明があった。全部で7つの省庁から説明があったのだが、あまりに無責任で呆れてしまった。


 私が、パスポートの有効期限はどのように設定するのかと質問したのに対し、内閣官房からの説明は「証明書自体に有効期限は設けていない」との内容だった。パスポートはワクチンを接種した事実を示すものだから、ということだったが、ワクチンを打ったから「安全です」ではない。ウイルスへの感染や重症化を防ぐ中和抗体を獲得したから安全だと言えるのである。

 ワクチンを接種した効果がどの程度続くのかは、現在様々な研究が行われているが、中和抗体の量は時間が経つと減少する。大事な点は、例えば、ある人が旅行に行こうとしたときに、感染や重症化を防ぐために十分な中和抗体を持っているか否かであって、ワクチンを2回接種したという過去の事実ではない。

 ワクチンパスポートの実施は、経済活動を再開させるために検討が進められているものではないのか。先日の会議での説明では、このパスポートは、ただワクチンを2回接種したということを証明するだけのもので、それを使って経済活動を行うことは、また別の物であるという話になる。

 だったら、どうして発行する必要があるのか。発行してもらっても、何の意味もないのではないか。一方で、厚労省からは有効期限を設けることを検討しているとの説明もあった。内閣官房では有効期限を設けずに接種証明を出しておいて、他の運用の部分は他省庁がやるとなると、混乱を招くだけではないか。これでは、いつまで経っても経済は元に戻りそうもない。有効な仕組みを作っていけるよう、努めてまいります。