桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「内部留保」

2022年10月13日 (木) 20:00
補正予算案の編成が進んでいる。文部科学の分野では研究の増額に向けて努力を続けているが、コロナ対応で100兆円支出した財務省の財布のひもは固く、思っているほどの研究費が出せるかは分からない。
 
 日本の研究のレベルは、どんどん低下している。現場で頑張っている研究者の方には申し訳ないが、その根本的な原因は研究者にあるのではない。研究を取り巻く環境が悪いからこうなっているのである。
 
 日本は多額の借金を抱えており、財政を重視する財務省からすれば、少しでも予算を削減したいと思うのは当然のことである。しかし、このままでは技術開発が遅れ、日本オリジナルの製品を作れなくなる可能性もある。
 
 この状況を解決するには、新たなる財源を確保しなければならない。その財源として、企業が抱えている内部留保を引き出すことができないかと考えている。内部留保は、簡単に言えば企業の貯金であり、いざという時の支出に備えて蓄えているものである。
 
 例えば、新型コロナの感染が拡大し、経済活動が停滞した局面である。このような時に内部留保を使って企業を維持するべきである。ところが、コロナ禍においても内部留保は減らず、全体としてはむしろ増えている。
 
 この内部留保を研究開発に回すことはできないか。国として研究分野を定め、そこに国費と、その分野に関係する企業の内部留保からの資金を加えることで、大型の研究予算を確保するのである。もちろん、現在も企業は個々に研究開発を行っているが、世界と戦っていくためには、これまでとは考え方を変えなければいけない。
 
 財源を確保せずに財政出動を要求しても、財務省の財布のひもは緩まない。田中角栄さんの凄いところは、道路特定財源のように財源を確保する努力をしてきたところである。そのような仕組みを作れないものか、議論していきたいと思っている。