桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「心療内科」

2022年08月25日 (木) 18:59
 月に一度、心療内科医として診療をしているのだが、新患の患者さんが増えている。聞いてみると、他の心療内科は3か月待ちということも多いのだそうだ。私は来るもの拒まず診療しているので、そうしたことも影響しているのかもしれない。
 
 私が心療内科というものを知ったのは、まだ学生だった頃である。当時は、九州大学に初めて医局ができたばかりで、心療内科は本当に珍しい診療科だった。あの頃は、本来であれば心療内科を受診するべき患者さんも、精神科で治療を受けていた。
 
 精神科と心療内科は大きく違う。精神科は、脳に器質的あるいは機能的な障害があり、何らかの症状を呈する患者さんを診療する科であり、薬物療法が中心となる。他方、心療内科は、心理的なことが原因で起こる疾患に苦しむ患者さんの治療にあたるため、カウンセリングが主体となる。勿論、場合によっては薬物療法も必要になるのだが。
 
 私の体感ではあるものの、最近、心理的な問題を抱えている患者さんが増えてきているように感じている。残念ながら、その原因を特定できているわけではない。社会の構造が大きく変化しており、それが関係しているのではないかと考えている。
 
 日々の診療も大切なことだが、根本的な原因を探り、心理的問題を抱える方を少なくできるよう努めていきたいと考えている。