桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「貿易収支」

2024年05月09日 (木) 19:01
 日本は輸出で稼いでいた、そんな時代もあった。今輸出額と輸入額の差し引きである貿易収支は悪化している。その原因のひとつは円安だが、それ以上に、日本が輸出で稼げる国ではなくなったからだ。

 この20年ほどを振り返ってみて、輸入額の増加、つまり貿易赤字の拡大に最も影響を及ぼした品目は鉱物性燃料、つまり石油である。これは石油を産出できない日本にとっては仕方のないことだ。次に影響が大きかったものが、中国の電気機械である。

 私が使っているスマホや我が家のテレビは日本の企業の製品だが、製造工場があるのは中国などの外国でそこから日本に輸出されている。電気機械に限らず、衣服も外国製のものが多いが、輸入額の増加には、そういった影響があるのだと思う。

 日本はいつのまにかものづくり国家ではなくなり、多くのものを輸入に頼らざるをえなくなった。そして、輸出は円安が有利だが、輸入は円高に振れたほうが有利である。今は円安に振れてしまっているので、生活は厳しくなっている。

 個人の生活だけではなく、日本全体で見たときの貿易収支も赤字に転落している。一方、所得収支が大幅な黒字なので、経常収支全体ではなんとか黒字になっている。

 日本は今後、何で利益を出して生活していくことになるのだろうか。世界と競える産業は、車や医薬品、アニメなどのコンテンツ産業であると思うが、その他に可能性があるのは再生医療の分野、特にiPS細胞の研究ではないかと考えている。iPS細胞については以前少し勉強したことがあるが、今の研究の状況等を改めて学び直したいと思っている。