桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「限界」

2024年07月18日 (木) 19:25
 国立大学協会の役員の方々が事務所を訪ねてきてくださり、関連する要望を伺った。大学の経営は非常に厳しい状況にあり、皆さん、「もう限界です」と訴えておられた。

 その最大の原因は、平成16年に国立大学が法人化されたとき、医学部や歯学部がある大学は利益を出せるだろうからと、全体で約1兆円の借金を背負わせられたことにある。

 大学の医学部の役割は、研究、教育、そして臨床医学であり、本来、大学病院に求められる臨床医学とは、一般の病院では診療できない疾患などに対し高度な医療を提供する、特定機能病院としての役割である。

 ところが、法人化されてからは、お金を稼ぐために一般の診療をやらざるをえなくなり、それが相当な負担になっている。これでは、どこにも余裕が生まれるわけがないし、研究を行うどころではない。抜本的な解決が必要である。

 そのためには、この1兆円の借金の棒引きが最も有効である。それが無理なら、当面の支払いの凍結でも構わない。今、大学病院がやるべきことは、一般の診療を行ってお金を稼ぐことではなく、研究に力を入れ、その成果によってお金を稼ぐことである。財務省とよく議論していかなければならないことだが、なんとかこの大学改革を成し遂げていきたいと考えている。