桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ:「平成9年からの教訓」

2012年03月29日 (木) 23:52

 今日久しぶりに、と言うか、今年初めて質問に立った。テーマの1つが消費税で、消費税増税は財政再建に資するのかという内容。平成9年に消費税を3%から5%に引き上げているのだが、数字から言えば、国家財政は悪化しているのである。
 平成8年の公債の発行額は21.7兆円、平成9年は18.5兆円、そして平成10年は34兆円である。平成9年は、景気が回復し、国家財政が悪化しているという理由から、消費税が引き上げられ、特別減税が打ち切られ、サラリーマンの皆さんの医療費の窓口負担が1割から2割に引き上げられた。
 さらに、公共事業費が削減されたので、国としては9兆円のプラスになったのである。しかし、平成9年の公債の発行額は3兆円程度しか削減できなかっただけではなく、平成10年には、公債の発行額は34兆円、平成8年と比較すると12.3兆円も増加したのである。
 今日の委員会における、財務省からの答弁では、東アジアの通貨危機もあり、所得税減税や景気対策等を行った結果、公債の発行額が増えたという事であった。このことから分かる事は、個人に関する税に関しては、消費税は引き上げられ、所得税が引き下げられたという事である。
 消費税は逆進性が強い税であり、低所得者に重い負担がのしかかる制度である。一方所得税減税は、税を多く納めている人の方により恩恵があるということは、高額所得者に有利な制度である。つまり、平成9年から平成10年にかけて行われた税制改正は、高額所得者に有利で、低額所得者に不利な改正だったという事になる。
 いずれにせよ、数字上からは、消費税の増税で財政再建はできていないということである。アジアの通貨危機という局面で行ったことが問題だったとすれば、増税を行う時期を間違うと財政はさらに悪化するという事を平成9年に学んだ。
 私たち与党が行わなければならない事は、増税を行う事ができるような環境を整備することだと思っている。そのことを行わず増税だけが実行されれば、平成9年の二の舞になってしまうからである。その事を肝に銘じて、活動していきたいと思っている。
                  参議院議員・医師 桜井 充

【秘書のつぶやき】
 桜井充秘書小林です。
  大阪市の元非常勤職員が職員リストを捏造したことが大きな問題になっています。実は渦中の市議会議員は小生の中学・高校時代のクラスメートでした。彼が出馬する前に話をしたとき、熱い情熱と正義感の強さを感じただけに、今回の出来事は大変残念で複雑な気持ちです。
 さて、小生も様々な資料に目を通します。その際、資料の信憑性や他の側面から見るとどうなのか等を精査し、クリアしたものを桜井に見せる事となります。そしてさらに厳しいチェックを受け、たくさんの駄目出しを受けることとなります。(相当厳しい!それだけに小生も勉強になりますが。)
 歴史を遡ってみると、一つの発言がきっかけとなり、大騒動になったことが多々あります。例えば、大臣の委員会での発言をきっかけに全国各地で取り付け騒ぎが起きたことで昭和金融恐慌が起きましたし、高校生同士の冗談である会話を発端として、ある信用金庫で取り付け騒ぎが起きたこと等すらありました。また、東日本大震災でも炎上したガスタンクを原因とした化学物質が空から降ってくるという噂が多方面から寄せられましたが、結局は事実に反したものでした。
 今回の件は得られた情報をツイッター等で単純に拡散させる行為そのものとも似ている部分があるのではないでしょうか。議員だけでなく私達一人一人も情報が氾濫する世の中だからこそ、事実関係を検証する考える力、そして情報を発信する影響力の大きさについてより理解を深める必要があるのではないかと思いました。(小林太一)