桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ:「憲法改正」

2013年05月02日 (木) 16:46
 憲法改正の議論が活発化してきている。これまでは憲法改正と言うと、イコール憲法9条と捉えられていた。そのため、憲法改正のハードルは高かった。しかし、憲法が規定している条文は多岐に渡っていて、その意味では、憲法を改正するべき条文もあると考えている。
 憲法を改正するためには国会が発議する必要があるのだが、現在議論になっているのは、その発議の要件を衆参各々の国会議員数の3分の2から2分の1に改めると言う事である。ただし、これを定めた96条の改正にも、国民投票が必要であることは言うまでもない。
そもそも憲法は何を目的として定められているのだろうか。憲法は、「国民が権力者を縛る手段」なのであり、これを立憲主義と呼んでいる。この点は非常に大切で、戦前の日本の憲法とは大きく異なっている。
 現在の日本国憲法の3原則は、1)基本的人権の尊重、2)国民主権、3)平和主義である。戦時下において、国民の権利を守るべき法律の一部が効果を失ったことがあるその反省から、基本的人権が尊重され、その個人の考え方によって国家が運営される、つまり国民が主権者という考え方に立ち、これらを維持するためには社会が平和である事が必要であるために、この3原則が定められたのである。ちなみに各党とも、この3原則は維持するべきであると考えている。
 この点からみてくると、現在の日本国憲法の理念はよくできており、特に第3章は人権のカタログと言われるように、国民の権利がきちんと保障されている。しかし、維新の会の綱領には、「この憲法のおかげで、日本は孤立し軽蔑の対象となっている」という趣旨の内容が盛り込まれているが、違和感を抱いているのは私だけだろうか。
 さて、発議要件に関しては、別の機会に譲ることとして、憲法改正には国民投票が必要なのだが、「過半数」とだけ書かれているだけであり、その要件が定められていないのである。「過半数」というと、大きく3つの可能性がある。
 有権者の過半数、投票数の過半数、そして有効投票の過半数である。このなかで一番高いハードルは「有権者の過半数」であり、一番低いハードルは「有効投票の過半数」である。安倍総理がご執心の96条の改正にも国民投票が必要なのだから、憲法改正を参議院選挙の争点にするのではなく、国民投票の要件を定めることの方が重要なのである。本当に憲法を改正したいのであれば、国会の場でこの点を議論するべきではないだろうか。
 
                                        参議院議員・医師 桜井充
 
【秘書のつぶやき】
 桜井充秘書小林です。
 様々な政党や新聞社が憲法改正の草案を打ち出しています。
改憲というと9条の問題がよく話題に上ります。平和を維持、または平和を声高に国際社会に訴えるためには強い国力が必要です。しかし、国力というのは決して軍事力だけでなく、経済力、外交力そしてソフトパワーの総合力であることは案外忘れがちです。
 ところで、日本維新の会の綱領を見てみると、基本となる考え方の第一番目に「1.日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる。」とありました。 今まで国家は死んでいて、孤立していたのだろうか、と頭の悪い小生では理解できません。
 様々な議論が出ることは大変重要です。だからこそ、しっかりアンテナを張って参ろうと思います。(小林太一)