桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「これでいいのか」

2020年08月06日 (木) 19:39
今日は、広島に原子爆弾が投下されて75年となる「原爆の日」です。犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。戦争のない平和な世界を実現し、守っていくため、微力ながら努力してまいりたいと思います。
 
 
さて、今年の1月に、厚労省に強く要請したことがある。3歳児の眼科検診で活用できる機械の導入についてである。このメルマガにも書いたので、覚えている方もいらっしゃるかもしれない。
 
3歳児を対象に行われる健診のうち、眼科検診については、まずは各家庭で、親御さんによって行われることになっている。何らかの異常が見つかれば、保健所や医療機関で更に詳しく検査していくことになるのだが、家庭での検査は精度が低く、子どもの弱視を見落としてしまうケースがかなり多くなっている。
 
 素人が検査するのだから、見落としが発生することはある意味当然だ。そこで、アメリカでは、眼科検診のための機械が開発・導入され、見落としはほとんどなくなっている。しかし、日本ではこの機械がいまだ導入されていない。そのため、厚労省に対し、一刻も早く導入できないかと要請したのである。
 
子どもの弱視は、脳の異常によって起こる場合があり、この場合には、早期発見ができれば治せる可能性が高いのである。逆に言えば、この治療は脳が発達過程にある8歳くらいまでしか行えない。若いうちでなければ助けることができないのである。だからこそ、一刻も早く機械を導入し、精度の高い検査によって弱視の見逃しをなくしていくことが重要なのである。
 
 ところが、今年の1月に要望した時の厚労省側の反応は、全く意欲的ではないものだった。機械は導入予定だが、安全性等を確認しなければならないため、1年半以上時間がかかる、というのである。
 
この検査は非侵襲的検査で、要するに体を傷つける恐れのない、安全な検査だ。これがカテーテルのように、侵襲的で安全性を確認しなければならないのであれば、厚労省の言い分も分かるが、そうではない。しかも、早く導入できれば、それだけ多くの子どもを助けることができるのである。
 
だからこそ、早く導入すべきであると言っているのだが、厚労省の腰は重く、遅々として進まない。半年経った今になっても、私の所にはその後の進捗の報告もされていなかった。
 
厚労省にどうなっているのか聞いたところ、担当課の方が説明に来られたが、「着実に進めていくつもりだ」といった旨の話を繰り返すばかりで、具体的な説明は全くなかった。弱視の治療は8歳までしか行えないことも知らず、危機感に欠けているとしか言いようがない。
 
 厚労省は人の命と健康を預かっている省である。しかし、中にはこのように、子どもたちの健康のことなどなにも考えていないかのような役人もいるのだと愕然とした。多忙な省であることは理解しているが、子どもたちの健康を本気で考える役人になってもらいたいものだと思う。
 
そのことを厚労省に伝えたところ、後日、担当課長が謝罪に来てくださった。課長の話では、当初は機械の導入まで1年半はかかると言われていたが、関係各所との相談の結果、今年中には結論を出せるようになったとのことだった。ご尽力に感謝したいと思う。だが、それならばなおのこと、最初に来られた方の意味のない説明が不思議である。あれは一体なんだったのだろうか。
 
 
参議院議員・医師 桜井 充