桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「コロナ闘病記(1)」

2020年11月22日 (日) 12:17

1115日(日)メルマガ配信分

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 このたび、新型コロナウイルス感染症に感染しました。感染しないよう、注意を払っておりましたが、感染してしまったことに反省しています。

 色々な方々からご心配いただいたことに感謝申し上げますとともに、ご迷惑をお掛けした関係者の皆様に心からお詫び申し上げます。

 しばらく、発熱や咳などの症状が強く出ていましたが、現在は少し落ち着いてきています。そこで、記憶が鮮明なうちに、日々の闘病生活を記録に残し、皆さまと共有させていただきたいと思います。 

 

・11月13日(金)PCR検査陽性確認・発症

 

 13日(金)にPCR検査を受けました。その時には無症状でしたが、検査結果を待っているうちに、徐々に熱が出てきました。夕方、陽性だという検査結果が出たので、仙台市保健所に届け出をし、保健所の指示を仰ぎながら対応を進めました。

 

 そうするうちに熱が上がり、咳も出てきたため、入院を希望しましたが、ベッドの空きがなく、入院はできませんでした。自宅の妻と電話で相談した結果、妻にはすぐ近くにある義理の父の家に一時的に移ってもらい、一人で自宅療養することになりました。

 

 妻が家を出たことを確認し、自宅に入りました。体の痛みは時間とともにひどくなり、咳も激しくなっていました。症状が悪くなってきたのだと手に取るように分かり、このような状態でも入院できないのだということは、仙台市の現状として、医療崩壊と言えるような状況にあるのだろうと思いました。

 

 更に言えば、レントゲン検査や酸素飽和度の検査をすることもなく、なにも分からないまま自宅療養せざるをえない状況は非常に不安であり、せめてそういった検査をするべきなのではないかと感じました。刻々と症状が重くなっていく中で、早めに薬を投与してもらえれば、ウイルスの増殖を抑えられる可能性があり、重症化せずに済む方もいるのではないかと思います。

 

 今後どのくらいまで悪化するのか分からないという不安との闘いでしたが、入院することもできないため、諦めて横になっているしかありませんでした。しかし、横になっても体の痛みがなくなるわけではありません。おそらく、ウイルスが筋肉に入り込んだためだと思いますが、全身がひどく痛み、本当に大変でした。

 

 眠ろうにも、全身の痛みが止まらず、眠ることもできません。あまりの痛みに耐えかねて、夜の12時頃、自己判断で家にあった痛み止めを飲みました。薬はやはり効くもので、三十分程度で痛みが和らぎました。しかし、こうした薬の摂取は、私が医師であるから判断できただけで、一般の方にはできないことです。一般の方が自宅療養と言われ、どんどん強くなっていく痛みに耐えなければならない心細さは大変なものだろうと感じました。

 

 熱は最終的に、385分まで上がっていました。

 

・11月14日(土)

 

 痛み止めを飲んだことで、なんとか眠ることができたのですが、朝の六時頃に、猛烈な空腹を感じて目覚めました。

 

 痛み止めは基本的には解熱剤なので、起きたときの体温は375分程度まで下がっていました。感染症の熱は夕方にかけて上がっていくものですので、今日もまた熱が上がるのではと不安に襲われました。

 

 ウイルスと戦っているときには、ウイルスが栄養を食っているからか、免疫細胞が頑張って働いており、栄養を欲しているためなのか、とにかくお腹が空きます。階段を下りて居間に向かい、買い置きしていた食事を取りました。私にしては珍しく、相当の量を食べました。

 

 もしも、この時に食事を取れていなかったら、症状はさらに悪くなっていたのではないかと思います。私の場合には、たまたま妻が近くに居て、食事を作ってもらったり、買い物をしてもらうことができましたが、これが一人暮らしの方で、近くに頼れる人がいないような場合には、本当に大変だろうと思います。

 

 この日は、ひたすら食べるか、寝るか、体温計とにらめっこしているかという生活でした。途中で、同級生の医者に改めて入院できないかどうか現状を確認したのですが、やはりベッドの空きがなく、入院は無理だと言われ、自宅で療養するしかないのだと覚悟を決めるしかありませんでした。そうした中で、せめて薬だけでも調整できないかと各所に相談しましたが、入院しなければ薬も出せないということでした。

 

 自宅療養とは言いつつも、ただ寝ているだけで、なんの治療が受けられるわけでもありません。ただ、私は、吸入ステロイドの一種であり、唯一効果があると言われているオルベスコという薬を使うことができました。胸の不快感が消え、酷かった咳が次第に軽くなっていきました。

 

 薬ひとつでこれだけ違うのですから、自宅療養の方にも薬を処方できるようにすれば、軽症の方はより早く快復できますし、重症化も防げるのではないでしょうか。重症化し、入院してからでなければ薬の処方も受けられないというのは、極めて不思議な話です。

 

 その後、関係各所のご調整により、なんとかベッドの調整がつけられそうだという連絡をいただきました。翌日、もし体温が下がらなければ、入院したいということを伝えました。

 

 今の国の制度では、入院している新型コロナウイルスの感染者については、症状がなくなってから、さらに3日間入院することになっています。症状が落ち着いた方々には自宅療養にご協力いただき、ベッドの空きをつくることで、症状が強く出ている患者さんに入院していただくことはできないものなのか、検討したいと考えています。

 

 この日は、全身の筋肉痛も徐々に和らぎ、咳も落ち着いたため、痛み止めを飲むこともなく眠ることができました。心配していた熱も、夕方38度程度まで上がっただけで、前日よりはだいぶ楽でした。一方で、ずっと横になっているために、身体が固まり、腰や背中に痛みが出てきました。

 

 食事などをするため、何度もベッドを出て家の中を移動しましたが、移動中にどうしても咳き込んでしまうため、おそらく我が家の床は、コロナウイルスだらけになっていると思います。同居者がいる場合には、どれだけ注意していたとしても、どこかでコロナウイルスに接触し、感染を広げてしまう可能性があります。同居者のいる家でも自宅療養は難しいだろうなと改めて感じました。

 

 このように、実際に我が身で経験したからこそ感じることも多く、今後に生かせるように、明日からも、可能な限り記録をつけていきたいと思います。