桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「花粉症」

2023年04月06日 (木) 19:56
総理は花粉症を国民病と位置づけ、対策に取り組むと発言された。方向性は良いと思うが、実際に行うとなると課題は山積している。

 ご存知の通り、花粉症はアレルギー疾患の一つである。つまり、花粉症対策を行うという事は、アレルギー対策を行うことである。一昔前の日本において、アレルギーの患者さんは本当に少なかった。そのため、アレルギー疾患を引き起こす原因物質である「IgE」というたんぱくを発見した石坂公成先生は、日本ではなく、患者数の多いアメリカで研究を行った。

 アレルギーとはギリシャ語のallosとergoという言葉の組み合わせである。allosとは英語でother、日本語に訳すと「変じた」であり、ergoは英語でaction、日本語に訳すと「作用」であり、アレルギーとは免疫反応の変じた作用なのである。

 つまり、アレルギーとは免疫反応であり、そして免疫力は年齢を重ねるにしたがって落ちてくる。そのため、年を取ると、花粉症の症状も次第に現れなくなってくる。実は、私もその一人である。花粉症が改善したのは良いのだが、免疫力が落ちてきていると考えると悲しい思いもある。

 さて、日本人のアレルギー患者が少なかった背景には、鎖国が関係しているかもしれない。というのも、アレルギー反応は、これまでにその人が認識していなかったものが大量に体内に入ることで起こることが報告されているからである。

 日本において、集団でアレルギー患者が報告された例として、ラワン喘息が挙げられるラワンとは木材の種類だが、日本では、関東大震災からの復興において国内の木材では不足があったので、このラワン材を輸入した。そして、ラワン材にかんなをかけていた大工さんが喘息の発作を起こしたのである。それまで認識していなかったラワン材が体内に大量に入ってきたので、体が異物を認識し、アレルギー反応が起こったのだ。

 今回はアレルギーの基礎的知識の話になってしまったが、次回以降、花粉症について詳しく述べたいと思う。