桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「能力が無いなら」

2025年03月27日 (木) 20:37
 公的金融機関は色々あって、例えば企業に対しては日本政策金融公庫(旧中小企業金融公庫と旧国民金融公庫)が融資を行い、医療・介護法人に対しては、福祉医療機構が行っている。基本的には縦割りで、旧中小企業金融公庫の所管は経産省、旧国民金融公庫は厚労省、福祉医療機構も厚労省となっている。財務省はすべての公的金融機関を所管している。
 
 多くの企業は、コロナ禍の打撃からの回復途上にある中で物価上昇に直面し、資金繰りで苦労している。公的金融機関はこれらの企業を支援するために、資本性劣後ローンの活用を進めている。資本性劣後ローンとは、5年や10年などの決められた期間、金利だけを支払い、5年後、10年後に元金を一括返済すればよいというローンである。

 現実的には一括返済は難しいので、借換えを行うことになるが、そこでまた劣後ローンを借りれば、企業は半永久的に金利だけを支払えばよいことになり、資金繰りが楽になるのである。資金繰りに悩む経営者にこのローンを紹介し、「助かった」という声をずいぶん頂いている。

 資金繰りが厳しいのは企業だけではなく、病院の経営も同じである。そこで、福祉医療機構にも劣後ローンを取り扱って欲しいとお願いしているのだが、聞くところによると、「能力が無いからできない」と言っているそうだ。

 公的金融機関は何のためにあるのだろうか。民間金融機関ではリスクが高すぎて融資ができない時にも、リスクを取って融資をし、企業を支援するのが公的金融機関の役目である。困っている医療・介護の経営者がいるというのに、能力が無いからできないというのであれば、機関そのものを不要だと見なさざるをえないのではないか。